1897年のクラブ設立から数えて120周年。ティフォージが選出するベスト3のゴールがアナウンスされました。

過去を振り返って最も印象付けられたゴールとは!? 自問自答した結果、すぐに答えは出ました。そしてそれはティフォージが選出する1位のゴールと一致しました。

1位はアレッサンドロ・デル・ピエーロの美しいゴールでした。

1994年12月。そのゴールは生まれました。

都市間ダービーとも言われるユヴェントス-フィオレンティーナ。マルチェッロ・リッピ率いるチームはホームのデッレ・アルピで戦いました。

このゴールが美しいのは間違いありませんが、それを更に印象付けることが2つあったように思います。

1つは対戦相手がフィオレンティーナということでした。クラブレベルでは少なくない取引があり、ロベルト・バッジョがユーヴェに移籍するなど大きな移籍もありました。しかし、ティフォージ同士はいつも熱い戦いをしています。フィレンツェで試合がある場合などは街の警備レベルが上がることもあります。当然、試合もヒートアップします。

もう1つは試合展開でした。フィオレンティーナが前半で2点を先制し、ユーヴェの苦しい展開に。後半も打開することができずにいましたが、70分を超えてジャンルーカ・ヴィアッリが立て続けにゴールを叩き込んで同点に持ち込みました。このまま終わるとは思えない流れでした。

そして90分が迫ってきた頃、あのゴールは生まれました。

左サイドのアレッサンドロ・オルランドがセンターラインを超えたところからゴールエリア内に少し進入したあたりにフワリとしたクロス。これに斜めに走り込んだデル・ピエーロがダイレクトによる右足で反応しました。そのシュートは小さな弧を描いて相手キーパー、フランチェスコ・トルドの手をかすめてゴールに吸い込まれていきました。

デル・ピエーロは足の甲で少しファーに向けるように合わせ、その軌道は少し弧を描いたことで美しいシーンを演出しました。

劇的な試合展開と美しい逆転ゴール。

ワールドカップアメリカ大会で怪我してシーズンに万全ではなかったバッジョ不在のモヤモヤを完全に消し去る瞬間だったのかもしれません。

当時はまだ現在のように海外サッカーを観戦できるような環境はまだ整っていませんでした。しかし、観ている人は観ていました。学校でサッカー好きの人とデル・ピエーロのゴールを「あれは凄い!」と話題にしていたことを思い出します。

この1994/95シーズンはナポリからリッピがチーロ・フェッラーラを引き連れてユーヴェに加入。チームの中心であるバッジョがワールドカップアメリカ大会で怪我してシーズンに万全ではなかったものの、彗星のように出現したデル・ピエーロの活躍が目立ったシーズンでした。

そしてシーズン終了後にバッジョが移籍、クラブは当時20歳だったデル・ピエーロを10番に指名した格好となりました。

翌シーズンからは3シーズン連続でチャンピオンズリーグにも進出し、その後のデル・ピエーロのユーヴェでの貢献を考えると、あの選択は間違っていなかったのではないかと思えます。

デル・ピエーロによってもたらされた美しいゴール。それはユーヴェの将来を変えたターニングポイントだったのかもしれません。

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